野口さんのプランは見えないことまで深く考えられています。

アクトファイブ㈱代表取締役社長

石井 郁男 様

  • お客様の工場に最適な洗浄機を

  •  製造業では「洗浄」が重要な役割を担います。製品の製造工程では何がしかの汚れが付着するので、洗浄・乾燥を行うのです。例えば注射針であれば、研磨の際に出たカスが針の空洞に入った状態で納品されたら、大変なことになります。デザイン性にこだわるスマートフォンの外枠を、一点の曇りもなくピカピカに仕上げるのも、決め手の一つは洗浄です。
  •  当社は、こうした洗浄の機械の開発・製造を行っています。汚れの種類や製品の大きさ・形状は様々。お客様の工場、製造法、製品にぴったりな機械を一つひとつ作らせていただきます。
  •  最近は「知能洗浄」と銘打って新システムを開発。機械が自動的に判断し、洗浄の精度を向上するもので、世界特許を取得しました。
  • モノ作りで、世界で飛躍したい

  •  私に転機が訪れたのは、1987年のモントリオール議定書がきっかけです。オゾン層を破壊する物質の使用が禁止されたのです。洗浄・乾燥には洗浄剤がつきものですが、その頃の洗浄剤はフロンガスを発生するものが主流でした。
  •  フロンガスを発生しない洗浄剤は可燃性のものとなり、燃える危険や乾燥のしにくさなど大きな問題があります。これをカバーするのは洗浄・乾燥の機械の性能であり、一からの開発が必要となりました。ならばいち早く挑戦しようと、当時の会社の仲間五人で創業したのがアクトファイブです。社名には「世界の五大陸で飛躍する」との決意もこめました。
  •  機械を作る人間は、開発の過程を楽しみます。理屈通りにいかないことも多く、試行錯誤の連続ですが、苦労だとは思いません。新しいモノを作りたいから作る。人と同じことをしたくない気持ちもあります。そして完成したモノには自信満々です(笑)。
  •  創業から1年ほど経った頃、東京で江戸時代から続く、ネジを作る会社の社長と出会いました。まだ実績の少ない当社の機械を何台も採用してくださったばかりか、何十人ものネジ工業会の方々をわざわざ集めて紹介してくださるなど、本当によくしていただきました。「おまえが一番、モノを作っている感じがした」との社長のお言葉が心に残っています。
  •  おかげさまで現在は、当社のモノ作りを評価してくださる多くのお客様のご要請を受け、中国・東南アジア・ヨーロッパ・アメリカに拠点を広げています。
  • 見えないことにこそ大切なものがある

  •  建物を作るのは難しいですね。三次元となると、自社の空間なのにまったくイメージが浮かびません。経験豊富な野口さんはさすがです。こちらの説明の言葉、見て取れる社内の様子からだけでなく、見えないことや将来のことまで広く想像を膨らませた上で、深く考えた提案をしてくださいます。新築から十年ほど経ちますが、古くなった感じはしません。女房は「野口さんは話しやすく、思いが伝わりやすい」と言います。女房の強い希望もあり、増築も迷わず野口さんにお願いしました。
  •  モノ作りは日本人に向いています。多くの世界一の技術で日本を豊かにしたのは製造業です。仕事をたくさんの人に分けられるのも製造業の魅力。若い世代にどんどん来てほしいですね。