野口さんは誠実であり、反対意見にも説得力があります。

㈱銀閣寺大西 代表取締役
大西雷三様
  • 美味しいお肉を世界へ

  •  当社は食肉の小売、業務用卸を主に行っています。食肉専門店は海外(シンガポール)2店舗を含めて28店舗、お取引先は500件以上です。
  •  創業は1930(昭和5)年、祖父が北白川別当町で食堂と、その上階で下宿屋を始めました。戦争から戻ってからは洋食屋、その後は現在の本社・本店のある土地に移り、精肉店とすき焼き店を開きました。
  •  精肉店に特化したのは昭和30年代の初めです。父が肉について一から本格的に学び、精肉専門の企業を築きました。
  •  私の代になってからは輸出にも力を入れています。初輸出は2015年のシンガポール。現在は27カ国に輸出しています。
  •  海外の方も当社の肉をお口に入れた瞬間に美味しいと感動してくださいます。海外にも品種としての和牛はありますが、肥育は海外で行われており、牛のストレスを軽減しようと心を配る日本の肥育とは全く違うのです。生産者の名前を付けた、当社オリジナルブランド「村沢牛」「京丹波平井牛」をはじめ、日本の技術は素晴らしいものです。
  • 情熱・誠実・感謝を忘れず

  •  企業経営で大切なことは沢山ありますが、私がいつも社員に伝えているのは、情熱・誠実・感謝を絶対に忘れてはならないということです。2001年、業界初となる品質マネジメントシステムの国際規格・ISO9001と、衛生管理手法の世界最高水準であるHACCPの認証を、キックオフからわずか8カ月で同時に取得した時も、この信条が支えになりました。
  •  認証取得のきっかけは、1996年に大阪で起きたO157による集団食中毒事件でした。この大腸菌を牛や豚が保菌している場合もあると知ったのです。「私たちが加害者になる可能性もある。お客様の貴い命を失ってなるものか」。社員一丸となって認証取得に情熱を燃やしました。
  •  じつはこの最中に、とんでもない逆境に立たされていました。BSE(牛海綿状脳症)が日本で初めて発生したのです。客足は途絶え、社員たちは暗くうつむくばかり。「安心・安全な食肉をご提供するために頑張っているではないか。私たちは間違っていない。胸を張っていこう!」と、社員たちを激励しました。
  •  すると、思いもしなかった出来事が起こりました。私たちがHACCP認証取得に向けて頑張っていることを知ってくださっていた、複数の新規のお客様から仕入れのオファーをいただいたのです。この時は感謝の気持ちしかありませんでした。
  • 妥協できない衛生面は信頼できるパートナーと

  •  HACCPの手法を用いたより高度な衛生管理、迅速な販売体制を追求し、受注・生産・配送までを一貫して行う施設として2013年に創設したのが「外商部プロセスセンター」です。この建設で野口さんに大変お世話になりました。衛生・安全面は絶対に妥協できません。そんな思いに野口さんは、誠実さと技術力で応えてくださいました。
  •  こちらの要望に対して、法令遵守や品質の観点から、ダメなものはダメときっぱり。そして別案を出してくださるのです。良い建物を一緒に作っているという感覚をおぼえました。できあがった建物は思った以上で、とても満足しています。
  •  最近の私たちの取組の中で、繁殖の役目を終えた経産牛を高品質の食肉和牛に育て直すサステナブル和牛〝熟〞が、欧米で好評を博しています。今後はさらにフィールドを世界に広げ、SDGsに貢献できるグローバル企業を目指していきます。