いつも筋を通され正直な野口さんはとても信頼できます。

㈱ニッカテクノ 代表取締役社長

中山 仁 様

  • 様々な製品に箔をつける

  •  貫禄や価値がつくという意味で「箔がつく」という言葉があります。当社はこの「箔」の技術開発・製造が専門の企業です。
  •  日本の箔のルーツは仏壇の金箔にあります。金合金を薄く平らに延ばした金箔を和紙にのせて、和紙の上から押さえながら貼っていくのが、昔ながらの基本的な方法です。
  •  時代を経て、箔の種類や用途は多岐にわたり、製造技術も質の向上と量産のために進化しました。手作業は機械化・自動化となり、箔と紙の二層だったものは基本五層( ベースフィルム・離型層・着色層・蒸着〈アルミ〉層・接着層)となりました。これを転写箔といい、機械が被転写体に押すと、離型層がベースフィルムとともに熱で離れ、着色・蒸着層が接着層で固定される仕組みです。
  •  当社の強みの一つは、転写箔のすべての層を自社で一貫して開発・製造していることです。金・銀・色・ホログラムなど箔の種類やそれらが押される被転写体によって、あるいは箔を押す機械によって転写箔の素材や配合などを細かく調整し、ニーズにお応えできる技術を持っています。例えば、書籍や雑誌の表紙、CDジャケット、お菓子や薬のパッケージといった紙類をはじめ、車の内外装部品、化粧品の容器などプラスチック類、皮革、金属、木工など、幅広い分野への転写が可能で、身の回りにある多くの〝光る〞製品にご採用いただいています。
  • 皆で気持ちを一つに

  •  当社は1927年に一乗寺で創業し、今年で94年となります。創業者は祖父の中山義春で、金箔の表面の傷や酸化を防ぐ膜を作る「エナメル箔」を開発しました。1962年には業界に先駆けて「真空蒸着機」を導入。真空内でアルミを溶解し気化させフィルムに付着させるもので、メタリック感のある箔を作れるようになりました。
  •  そして2000年に私が入社してからは、見る角度によって光り方や柄が異なる「ホログラム蒸着転写箔」の開発に着手。確立できるまでの10年間、何度も挫折感を味わいましたが、従業員や仲間、自分を信じて粘り強く挑戦し続けました。
  •  物事の成就に大切なのは、皆の気持ちが一つになることです。従業員全員が「お客様が第一」と考え、それに沿った目標を掲げて、一丸となり達成する。こうした姿勢に共感してもらえるよう、従業員の意識改革を行ないました。
  •  共感を促すには、私の行動に納得してもらう必要があります。そのために社長として多くの結果を出し、実績を積み上げ、信頼を築く。コミュニケーションももちろん大事で、毎朝、作業着で現場に入り、指揮を執りながら従業員の顔を見ています。真剣に向き合っているので、叱るときはこてんぱんです(笑)。
  • 目標、夢は大きく

  •  野口さんとは40年以上のおつきあいです。当グループの工場や建物だけでなく、プライベートでも中山家の親戚一同の住宅をお願いしました。私が幼い頃に、野口さんのスタッフの方々がよく遊んでくださったのを憶えています。
  •  建物を創るときは、あれもこれもと夢ばかりが膨らむものです。そこから現実に戻してくださるのが野口さん。できること(良いこと)、できないこと(良くないこと)を、正直に筋道を立てて教えてくださいます。また、建てた後のメンテナンスにも心を配ってくださり、助かっています。これは信頼関係があるからこそです。
  •  当社はBtoBの企業であり、業界内での信頼関係を築いてきました。今後は広く一般の方々にも蒸着転写箔を知っていただけるよう努め、2倍、3倍と大きく成長していきたいと思います。